最新情報|株式会社ティアフォー

複数の運行設計領域に対応する自動運転の商用ソフトウェアプラットフォームの提供を開始  開発と運用の一体化へ

作成者: TIER IV|Nov 4, 2022 1:00:00 AM

株式会社ティアフォー(以下「ティアフォー」)は、交通制限された閉鎖空間から歩車混合の市街地まで、広範囲に渡る複数の運行設計領域(ODD)を対象として、お客さまの自動運転システムの開発から運用までを支援する商用ソフトウェアプラットフォーム「Pilot.Auto(パイロットドットオート)」および「Web.Auto(ウェブドットオート)」の提供を開始したことをお知らせします。

 



Pilot.Autoは、ティアフォーが開発を主導する自動運転用オープンソースソフトウェア(OSS)「Autoware *1」をベースとした自動運転ソフトウェアプラットフォームです。ティアフォーが提案するリファレンスデザイン(参照設計)をもとに、お客さまの要望を満たす自動運転システムの開発と運用を可能とします。Web.Autoは、Pilot.Autoを活用して構築した自動運転システムの開発と運用を効率化させるDevOps *2 ソフトウェアプラットフォームです。これらのプラットフォームにより、開発コストを削減し、市場投入までの時間を大幅に短縮することができます。


Pilot.AutoおよびWeb.Autoの特徴

Pilot.Autoを利用することで、指定のコンピューター・センサー・車両を用いた個別のユースケースの実現が可能となります。また、ソースコードまでオープンにしてご提供するため、お客さま自身で継続的な開発やノウハウの蓄積を行うことができます。


Pilot.Autoを通じて、お客さまの自動運転の社会実装に向けた次のようなサービスを提供します。


  • ソフトウェアのカスタマイズ:追加したいユースケースや高度化したい機能などの個別要件を短期間で実現できるよう、開発・評価を支援。
  • システムとの統合(車両構築):Pilot.AutoやWeb.Autoが備えるツールを活用し、センサーのキャリブレーション・制御のチューニングを行い、自動運転システムの構築を支援。
  • 走行環境への適合:自動運転システムを導入・運用するために必要なODDへの適合と安全な走行を実現するために、ODD内にて起こり得るユースケースの選定・評価・検証を支援。また、リスクアセスメント・高精度三次元地図作成・走行環境に合わせたチューニングなどを実施。
  • ソフトウェア・システム・走行環境に対するメンテナンス:自動運転システム全体の定期的な点検や、OTA(Over-The-Air)を活用した自動運転ソフトウェアの更新などを実施。

Pilot.Autoは現在、5つのリファレンスデザインを備えています。リファレンスデザインには、ODDに含まれるユースケースを実現するために必要な機能・性能が個別に定義され、Pilot.Autoにはそれらを実現するための基本的なソフトウェアやハードウェアの要件が具備されています。お客さまにとって、リファレンスデザインは自動運転システム開発の「起点」としての役割を担い、開発・運用に必要となるコストや期間を大幅に短縮することができます。


リファレンスデザインは、次のとおりです。


  • Cargo Transport:工場などの閉鎖・限定空間における、低速自動搬送のためのユースケース設計。
  • Shuttle Bus:公園や生活道路などの限定・混在空間における、旅客輸送(バス)のためのユースケース設計。
  • Robo-Taxi:都市部などの交通環境整備空間における、旅客輸送(タクシー)のためのユースケース設計。
  • Personal Car:高速道路などの自動車専用空間における、先進運転支援システムのためのユースケース設計。
  • Delivery Robot:生活道路などの混在空間における、ラストマイル配送のためのユースケース設計。

Web.Autoは、自動運転システムを効率的に開発し、安全に運用することを目的としたクラウドネイティブかつエッジ集約型のDevOpsソフトウェアプラットフォームです。Web.Autoは、自動運転シミュレーションやCI/CD *3 データパイプラインなどの開発基盤、および第三者が提供するアプリケーションと連携可能な車両運行管理・遠隔監視・OTAなど、自動運転システムを搭載した車両を安全に運用・保守するために必要な運用基盤によって構成されます。


主な機能は次のとおりです。


自動運転シミュレーション

  • 運転・交通シミュレーション
  • 走行ログから現実事象の再現
  • リアルな物理モデルを用いたセンサシミュレーション
  • 機械学習モデル学習用合成データの生成

CI/CDデータパイプライン

  • 自動運転に最適化されたCI/CDデータパイプラインによる、バイナリや機械学習モデルのビルド、テスト、シミュレーション、デプロイメント
  • シミュレーションの高度な並列化実行
  • 問題点の早期発見を可能にする豊富なツール

データ管理

  • 車両から効率的かつスマートな走行ログのアップロード
  • 高精度三次元地図、テストシナリオ、機械学習モデルの管理
  • 走行ログ検索、学習・評価データセット作成支援
  • 高い安全性と可用性

運行管理

  • 登録車両のスケジューリングとトラッキング
  • データの事後分析とメンテナンス計画
  • OTAソフトウェア更新
  • カスタムサードパーティアプリのためのAPI

遠隔監視

  • 車両状態の遠隔監視
  • 緊急遠隔支援
  • 緊急遠隔運転

プラットフォームの開発・採用事例

ティアフォーはこれまで、自動車メーカーやサービス事業者といった数多くのお客さまと協働し、リファレンスデザインごとにPilot.AutoとWeb.Autoを活用した自動運転システムの開発を推進してきました。一部のお客さまにおいては、すでに自動運転サービスの商用化を開始しています。


Cargo Transport

ティアフォーとヤマハ発動機株式会社(以下「ヤマハ発動機」)は2020年4月に株式会社eve autonomy(以下「eve autonomy」)を設立し、共同で自動運搬送車両の市場展開を進めてきました。2021年9月には、屋内外の環境を含む閉鎖空間における、搬送の自動化ニーズに対応できるように開発されたオールインワンの自動搬送サービスである「eve auto」を発表するとともに、ヤマハ発動機の浜北工場をはじめとする複数の工場で、運用実績を積み上げてきました。eve autonomyのような自動運転サービス提供会社が、自動運転システムに関わる一連の開発・保守基盤(DevOpsソフトウェアプラットフォーム)の提供を第三者から受けるのは、世界で初めての事例となります。


また、この事例で培った実績・知見をもとに、国内外の別の自動運転サービスへの適用も積極的に行っており、自動運転の民主化に向けた開発をパートナー企業と共に推進しています。


Shuttle Bus

2022年2月から3月にかけて東京臨海副都心・お台場で実施した自動運転システムを活用したモビリティサービスの実証実験において、トヨタ自動車株式会社(以下「トヨタ自動車」)のe-Paletteに、自動運転ソフトウェアプラットフォームが採用されました。乗り心地を考慮した車両制御や様々な走行シーンに適応できるようPilot.Autoをベースに工夫を施すとともに、Web.Autoが提供する自動運転シミュレータや高精度三次元地図編集などのツールを活用し、自動運転バスの商用レベルでの運用体制の整備を支援しました。


また、定員50名を超える大型バスの分野で、その他の国内大手自動車メーカーとも協業を進めています。2020年よりPilot.AutoとWeb.Autoの両ソフトウェアプラットフォームを活用した車両を共同で構築し、空港制限区域内専用道での実装を皮切りに、公道での実用化も見据えた開発を推進しています。


Robo-Taxi

ティアフォーは2019年から、トヨタ自動車製「JPN TAXI」を活用して車両開発や実証実験を進めてきました。混雑した環境における車線変更、路上駐車回避などのユースケースへの対応、信号情報などとのインフラ連携および遠隔監視における5G活用といった「自動運転技術の高度化」、ならびに他社製のタクシー呼び出しアプリや遠隔管制システムとの接続といった「自動運転サービスの事業性確認」を積極的に進め、西新宿やお台場をはじめとする日本各地での実証実験で数千キロに及ぶ走行実績を積んでいます。


スズキ株式会社(以下「スズキ」)とティアフォーは、スズキ製「ソリオ」を活用し、2018年よりレベル4を想定した自動運転システムの共同開発に取り組んできました。スズキが自動運転に必要となる車両改造や車両インターフェース設計・構築を担当し、ティアフォーはソフトウェアプラットフォームや自動運転キット(センサー・ECUを統合したシステムユニット)を提供しています。2022年5月には静岡県浜松市の庄内地区において、公道走行の実証実験を実施しました。今後も共同でレベル4車両の開発を継続していきます。


Personal Car

台湾の設計製造受託(EMS/ODM)大手である鴻海テクノロジーグループ(以下「Foxconn」)とティアフォーは、今後Foxconnが開発・製造を計画するEV(電気自動車)プラットフォームにおいてAutowareの採用を前提とした企画・開発を進めることで合意しました。自動運転を含む車両の機能・性能をソフトウェアによって定義する「ソフトウェア定義型自動車(Software-Defined Vehicle、SDV)」のコンセプトのもと、ティアフォーはクラウドネイティブのDevOpsソフトウェアプラットフォームをFoxconnに提供し、CI/CDデータパイプラインやOTAといった機能を通じて継続的な保守・更新が実現する自動運転電気自動車の開発を進めていきます。


Delivery Robot

2021年8月、川崎重工業株式会社(以下「川崎重工」)とティアフォーは、ラストワンマイルにおける物流課題の解決を目的とした協業に関わる覚書を締結し、自動配送ロボットの共同開発を開始しました。川崎重工が開発・提供するロボット機体に対してティアフォーのソフトウェアプラットフォームを適用し、東京都西新宿や錦糸町地区において路側帯や歩道の走行の実証実験を行いました。また、幅広い事業者が連携した将来的な社会実装を見据え、ティアフォーが開発した自動配送ロボットを含めた複数種類のロボットを同時制御する取り組みも実施しました。


今後の展開

次のロードマップの実現を目指し、Pilot.AutoとWeb.Autoの開発を進めます。


  • 2023年末:Cargo Transportにおいて、工場・空港・テーマパークといった閉鎖・限定空間でのレベル4相当の機能を実現。
  • 2025年末:Shuttle Busにおいて、地方都市部でのレベル4相当の機能を実現し、オールジャパン体制で40箇所以上の地域で社会実装。また、Cargo Transportの海外展開を本格的に開始する。 さらに、Personal Carではレベル3相当の機能の提供を開始。
  • 2028年末:Shuttle Bus・Robo-Taxi・Personal Carにおいて、都心部でのレベル4相当の機能を実現。同時に、Shuttle Busの海外展開を推進。
  • 2030年頃:各リファレンスデザインにおいて国内外の主要な走行環境に対応。

Pilot.AutoとWeb.Autoを活用いただくことで、ティアフォーは、お客さまの自動運転システムの開発・実装の効率化を支援します。今後も、世界中の企業・機関に向けて自動運転ソフトウェアプラットフォームの提供を続け、あらゆる組織や個人が自動運転システムの技術開発とサービス運用に取り組めるエコシステムを形成することで、自動運転を通じて、安心・安全な社会の実現に貢献していきます。



参考

ティアフォーコーポレートサイト:https://tier4.jp/products/
Pilot.Autoウェブサイト: https://pilot.auto/
Web.Autoウェブサイト: https://web.auto/


*1 AutowareはThe Autoware Foundationの登録商標
*2 ソフトウェアの開発担当と導入・運用担当が密接に協力する体制を構築し、ソフトウェアの導入や更新を迅速に進めること。「Development(開発)」と「Operations(運用)」の略語を組み合わせた造語
*3 ソフトウェア開発におけるビルドやテスト・デリバリー・デプロイメントを自動化し、それを継続的に行う手法。「Continuous Integration(継続的インテグレーション)」と「Continuous Delivery(継続的デリバリー)」の略語を組み合わせた造語


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