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TIER IV Computing System Workshop 2023を開催しました

作成者: TIER IV|Mar 22, 2023 1:00:00 AM

ティアフォー技術本部Computing Team Computing Research Lab.の高野祐輝です。「ゼロから学ぶRust」講談社 (2022)、「並行プログラミング入門」オライリー・ジャパン (2021)、の著者でもあります。ティアフォーテックブログの執筆は初めてとなります。

2023年3月13日(月)にTIER IV Computing System Workshop 2023を開催しました。

 

 

本Workshopでは、オペレーティングシステム、形式検証、プロセッサ、ソフトウェアの性質など、計算にまつわる先端研究・技術を探求している方々に、大変興味深い話を多数発表して頂きました。発表タイトル・発表者名と、私のコメントおよびスライドの一部抜粋は以下のとおりでです。


「seL4チュートリアル」高野 祐輝(ティアフォー、大阪大学 招聘准教授)

コメント: マイクロカーネルなOSであるseL4に関する、私の発表です。seL4は検証のために一部Haskellで実装されており、意味が理解しやすく感激しました。まだまだ調査中です。



「seL4チュートリアル」スライドより抜粋


「Autowareにおけるリソース競合の定量化」石川貴大(ティアフォー)

コメント: IEEE/ACM MICRO 2011で発表されたBubble-Upという手法を、Autowareのセンシングモジュールに適用した発表です。この手法を用いると、プロセス同士のリソース競合を予測が可能になり、同一ホスト上に複数のプロセスを論拠を持って同居させることができるようになります。本発表では、この手法をAutowareへ適用すると、予測値と実測値が非常に近くなることを示していて、個人的に驚きでした。ノイマン型コンピュータ相手なら、ラプラスの悪魔にもなれる!?



「Autowareにおけるリソース競合の定量化」スライドより抜粋


「UPPAALによるAutowareの形式検証」神戸隆太(ティアフォー)

コメント: UPPAALは、時間オートマトンという、時間の考慮が可能なオートマトンを用いた、システムのモデル化と検証ができるソフトウェアです。本発表では、自動運転システムの安全機構をUPPAALを用いて検証しています。私が彼に「UPPAALでやってみたら」と無茶振りしてた結果、想像以上に良い物ができあがりました。No verification, no autonomous driving.



「UPPAALによるAutowareの形式検証」スライドより抜粋


「優先度駆動型チェーン考慮スケジューラのAutowareへの適用評価」矢野篤志(埼玉大学、EMB IV)

コメント: 矢野さんは、修士2年の学生でありながら、既にスケジューリング関連の主著ジャーナル論文3本(Ph. D取得要件相当)を執筆している強者です。常々、「Autowareって有向非循環グラフ(DAG)じゃなくて、循環を含んでいるんですよね(だからDAG情報によるスケジューリングが難しいの意)」と言っていたところ、循環ありでもうまくスケジューリングする方法を考案してくれました。もうなんか、凄すぎですね。



「優先度駆動型チェーン考慮スケジューラのAutowareへの適用評価」スライドより抜粋


「気合で動かすオペレーティングシステム -xv6の動作から学ぶRISC-V 特権命令-」村上太一(東京大学、ティアフォー)

コメント: ティアフォーでプロセッサの設計を行っている村上さんの発表です。「気合いでOSは動かねーぞ!」という、加藤CTOのガヤからはじまった本発表ですが、村上さんは相変わらずのエンターテイナーぶりをみせてくれました。仮想メモリを有効にした際に、ページフォルトを発生させて実行を継続させる手法は、目からうろこでした。他にも「xv6 kernel is bootingと出た瞬間がものすごい気持ちいい、ゾクゾクする」などの名言(迷言?)も飛び出します。非常に面白い発表です。



「気合で動かすオペレーティングシステム -xv6の動作から学ぶRISC-V 特権命令-」スライドより抜粋


「プログラム実行に潜むべき乗則について」佐々木広(東京工業大学 准教授、ティアフォー)

コメント: 佐々木先生は、東京工業大学の准教授で、ティアフォーにはアドバイザーとして参加頂いています。プログラム実行をソーシャルネットワークと見なすと、べき乗則が現れるという発表で、べき乗則大好き民の私には大興奮の内容でした。X軸とY軸が対数スケールのグラフ上に、綺麗な直線が描かれています(下図参照)。美しい。ビューティフォー… べき乗則は、都市の大きさ、地震の発生確率など、あらゆるところに存在する法則です。これがプログラミング実行にも潜んでいるとは…伝われ、この感動。


 

「プログラム実行に潜むべき乗則について」スライドより抜粋


「Application Specific SIMT による電力効率と開発コストの両立」塩谷亮太(東京大学 准教授、ティアフォー)

コメント: 塩谷先生は、東京大学 准教授を務める傍ら、ティアフォーVのアドバイザーとしてプロセッサ設計に携わられています。本発表では、アプリケーション特化型の専用プロセッサについて説明いただきました。スカラ型、SIMD型、アレイ型、専用回路などの違いが理解しやすく簡潔に説明されていて、非常に感銘を受けました。



「Application Specific SIMT による電力効率と開発コストの両立」スライドより抜粋


Workshopは大変盛況で、現地に30名弱、オンラインで100名以上の視聴者が参加しました。低レイヤや形式検証に興味がある人材が、これほど集まったというのは驚きです。というのも、締めの挨拶で石川先生もおっしゃっていましたが、若い人がOSなどの低レイヤになかなか興味を持ってもらえないというのを私も感じていたからです。本Workshopで、OS、ハードウェアなどの分野を盛り上げていければと思います。

オープンソースのソフトウェアを一緒に開発していきませんか?

ティアフォーでは、「自動運転の民主化」というビジョンに共感を持ち、自らそれを実現する意欲に満ち溢れた新しい仲間を募集しています。


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