「Autoware」が2015年8月25日に自動運転用オープンソースソフトウェア(Open-Source Software:OSS)として公開されてから、9年を迎えます。今回のブログでは、9周年を記念して「Autoware」のこれまでの軌跡を振り返り、今後の展開についてお話しします。
「Autoware」プロジェクトは、ティアフォーの創業者の加藤真平により2015年に名古屋大学で始まりました。自動運転技術の利便性を誰もが享受できるより良い世界を構築することを目指し、自動運転の民主化を実現するために公開されました。
そして現在、「Autoware」は世界初の自動運転用OSSとして広く知られるようになりました。「Autoware」のGitHubリポジトリは、8700以上のスターを獲得し、大きな注目を集めています。
「Autoware」は、世界20か国以上、30種類以上の車両に展開され、約500社の企業が自動運転の実現のために活用しています。多額の資金を調達している大手自動運転企業でも「Autoware」は使用されており、独自のアルゴリズムや技術の開発前のコンセプト検証に活用されています。また、「Autoware」をそのまま採用しながら、高度な機能やサードパーティーのソリューションを統合させて活用する企業もあります。
このように、オープンソースのソフトウェアを活用することで、プラットフォームを一から開発する費用を抑えることができます。その結果、革新的なソリューションを持つ企業が、自動運転業界に参入しやすくなりました。
「Autoware」は公開当初から、自動運転を実現するためのオープンプラットフォームを提供し、エコシステムを形成するというビジョンを掲げ、進化と改善を続けてきました。主要な機能は洗練され、現在では「Autoware」を基盤とした自動運転車両による移動サービスが世界中の公道で運用されています。
「Autoware」の改善には、自動運転車両の商用化を考慮したモジュール式アーキテクチャとAPIの開発、および認知、判断、操作、制御などの主要な自動運転機能の継続的な強化が含まれます。これらの機能強化により、複雑な運行設計領域(Operational Design Domain:ODD)での自動運転に対応しています。
さらに、Autowareコミュニティが新機能を開発・テストできるようにするため、新しく強化されたシミュレーションツールと検証フレームワークが開発されました。The Autoware Foundation(AWF)のワーキンググループでは、「Autoware」の使いやすさ、マニュアルや仕様書などの文書、データセットやツールの改善に取り組んでいます。
これらのデータセットやツールの機能を検証するため、AWFは自動運転バスのリファレンスデザインを構築し、ヨーロッパとアジアにおいて実証実験を実施しました。トルコのイスタンブールと台湾の台北では「Autoware」を基盤とした自動運転バスの公道での実証実験が行われ、世界中のAutowareコミュニティのメンバーの協力により成功を納めました。
2024年に石川県小松市で日本初の自動運転バスの商用サービスが開始したほか、アジア、北米、欧州、中東でも自動運転バスの試験運行が実施されています。
また、AWFは他の業界コンソーシアムと戦略的に提携することで、「Autoware」の認知を拡大することにも努めています。例えば、SOAFEE Special Interest Group(SIG)とのパートナーシップを通して、Autoware Open AD Kitを開発しています。SOAFEEはScalable Open Architecture for Embedded Edgeの略で、SOAFEE SIGはソフトウェア定義型車両(Software-Defined Vehicle:SDV)に適用可能なミックスクリティカルなクラウドネイティブアーキテクチャの開発をしています。
Autoware Open AD Kitは、SOAFEEフレームワークで採用された最初のレファレンス実装です。異なる安全要件を満たした自動運転システムの実現を目標に、より高度なSOAFEE機能の実装、検証、実証をするために不可欠なアプリケーションです。
「Autoware」が時代とともに進化してきたように、AWFもAutowareコミュニティのニーズに応えるべく進化を続けて来ました。AWFの会員数は着実に増加を続け、世界中から新しいパートナーが加わることで、新しい機能やソリューションも追加されます。また、安全な自動運転車両の開発、検証、拡張に向けたワーキンググループが導入され、AWFの役割も拡大を続けています。
さらに、戦略的な提携も拡大し、メンバーが自動運転車両や自動車業界のイベントに参加することで、ソリューションを推進し続けてきました。AWFには世界中から多くのメンバーが参加しているため、自動運転車両の展開と運用に関する各地域の具体的な要件に対応すべく、地域別の機能の開発も行っています。
2022年にはAutoware Center of Excellenceを立ち上げ、「Autoware」を使用する世界中の大学と共に次世代の自動運転研究開発を進めています。先進的な研究開発の推進だけでなく、「Autoware」を基盤とした自動運転技術の教育に必要なプラットフォームとリソースも提供しています。
Autoware Center of Excellenceで自動運転を学んだ学生たちが、将来自動運転の可能性広げ、さらなるイノベーションをもたらす起業家、エンジニア、業界リーダーになっていくことを願っています。
自動運転技術は進化し続けており、今後も「Autoware」はこの進化の最前線に立ち続けるでしょう。「Autoware」はエコシステムの中で改善され続け、今後複雑化していく公道でのユースケースに対応できるようになります。
現在、自動運転業界はAI基盤の機能を組み込んだ「AD2.0」への移行に取り組んでいます。「Autoware」のオープンアーキテクチャと検証フレームワークでは、このような次世代の自動運転技術を迅速に車両に組み込むことができます。認識、予測、進路計画は、AI基盤のリファレンス実装で検討されている主要機能の一部です。
AWFのワーキンググループでは、業界のリーダーたちを巻き込み、自動運転車両の安全性の検証に取り組んでいます。「Autoware」コミュニティでは、当面の間、AI基盤の機能評価を含むシステム検証のためのオープンフレームワークを主に開発していきます。
さらに、業界が自動運転レベル2+からレベル3、そしてレベル4へと移行していく中で、SDV向けに最適化されたSOAFEEオープンアーキテクチャ上に構築されたAutoware Open AD Kitを活用すれば、自動車メーカーやTier 1メーカーは自社ソリューションを一から開発したり、独自のブラックボックスソリューションに縛られない選択肢を持つことができます。AWFは、乗用車の要件に特化したリファレンスデザインも開発する予定です。
ティアフォーCEOの加藤真平が名古屋大学で始めた「Autoware」は、長い年月をかけそのエコシステムを構築してきました。「Autoware」を基盤とした自動運転車両による商用サービスも始まり、今後数年間でさらに世界中で拡大し続けるでしょう。ティアフォーと AWFは、自動運転技術の利便性を誰もが享受できるより良い世界を構築するというビジョンの達成を楽しみにしています。
Christian John | President of TIER IV North America
ティアフォーの北米およびヨーロッパにおけるビジネス運営を統括。Autoware Foundationの戦略企画委員会の委員長として、メンバー育成、プロモーション、戦略的イニシアチブを通じてAutowareエコシステムの成長を牽引。ティアフォ―入社前は、Intelで自動車向けテレマティクスビジネスのゼネラルマネージャーを務め、車載向けLTE/5G製品を担当。
ティアフォーでは、「自動運転の民主化」というビジョンに共感を持ち、自らそれを実現する意欲に満ち溢れた新しい仲間を募集しています。
多くの職種で採用をしています。詳細は、ティアフォーの「求人ページ」をご覧ください。カジュアル面談をご希望の方は、応募する際に「カジュアル面談希望」と記載してください。
「どの職種で自分の経験を活かせるかが分からない」「希望する職種が見つからない」などの場合は、ぜひ「キャリア登録」をお願いします。
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