株式会社三菱総合研究所(代表取締役 社長執行役員:籔田健二)は、総務省の『令和8年度「周波数ひっ迫対策技術試験事務」のうち「自動運転の社会実装を支える通信インフラ実現のためのV2X通信システムに係る技術的検討」の請負』(以下 本事業)を受託しました。本事業では、エム・アール・アイ リサーチアソシエイツ株式会社(代表取締役社長:羽生哲也)、沖電気工業株式会社(代表取締役社長執行役員:森孝廣)、KDDI株式会社(代表取締役社長CEO:松田浩路)、スマートモビリティインフラ技術研究組合、株式会社ティアフォー(代表取締役 執行役員 CEO:加藤真平)、株式会社T2(代表取締役CEO:熊部雅友)、日本電気株式会社(取締役 代表執行役社長 兼 CEO:森田隆之)と共に、一般道および高速道路におけるV2X通信(700MHz帯V2X、5.9GHz帯V2X、4G/5G)の技術実証と、V2X通信の社会実装に向けた総合的な検討・整理を推進します。
政府の「第3次交通政策基本計画」(2026年1月閣議決定)では、自動運転レベル4※注のバス・タクシー・トラック等を2030年度に1万台へ拡大する目標が新たに設定され、全国13の「先行的事業化地域」で目標実現に向けた多くの実証実験が行われています。中でも期待されているのが、車両とあらゆるもの(道路・信号・他の車両・ネットワーク等)との間で情報をやり取りするV2X(Vehicle to Everything)通信の活用です。
V2X通信には、車両と路側に設置されたインフラ等が直接情報をやり取りする700MHz帯・5.9GHz帯の専用通信と、既存の携帯電話網を活用して広域的な通信を行う携帯電話通信(4G/5G通信)があります。専用通信は交差点・合流部など局所的かつ即時性が求められる安全支援に適している一方、4G/5G通信は自動運転車両の遠隔監視など、広域性・汎用性を活かしたユースケースに強みがあります。
総務省ではV2X通信の社会実装を見据え、これまで各種V2X通信方式の有効性に関する検証・評価を進めてきたことに加え、「自動運転時代の“次世代のITS通信"研究会」(第3期、2025年9月~)を開催し、自動運転社会の本格的到来を見据えた通信インフラの在り方等について検討やとりまとめが進められています。本事業では、総務省における上記研究会の検討内容や報告書を踏まえ、V2X通信が必要となる条件や通信要件等を体系的に整理するとともに、一般道や高速道路で実車を用いた技術的な検証・実証を実施します。
※注 自動運転レベル4:0~5まである運転自動化レベルのうち、特定の条件下においてシステムが運転の全てを担い、ドライバーの操作を必要としない段階
(1)本事業の概要
①V2X通信の社会実装のための総合的な検討・整理
700MHz帯・5.9GHz帯の専用通信と携帯電話通信(4G/5G)の3方式が役割を相互に補い合いながら最大限に機能できるよう、各方式が必要となる場所・場面・通信要件や、導入シナリオ・普及促進方策等を体系的に検討・整理します。また、関係機関との会議体を設置・運営し、実証実験の総合的な進捗管理・調整を行います。これらを含む本事業全体を、各社が専門領域を持ち寄り緊密に連携しながら一体的に推進します。
②一般道および高速道路での技術的検証
一般道では、地方都市および都市部それぞれで700MHz帯・5.9GHz帯のV2X専用通信を使い、自動運転バス(レベル4相当)の車両制御への有効性を実際の走行を通じて検証します(交差点での衝突回避支援や遠隔支援など)。また、携帯電話通信による複数台の自動運転車両の同時遠隔監視と遠隔支援の有効性も検証します。
高速道路では、携帯電話通信による複数台の自動運転車両の遠隔監視の有効性を検証します。
③5.9GHz帯V2Xに関する既存無線システムとの周波数共用の検討および技術的条件の策定
5.9GHz帯V2X通信の導入にあたり、同一・隣接周波数帯を使用する衛星通信・放送機材(FPU)・ETC等の既存無線システムへの影響を精緻に評価し、相互に干渉しない共用条件を整理します。これにより5.9GHz帯V2X通信の全国展開に向けた技術的条件の策定を進めます。
(2)株式会社三菱総合研究所・エム・アール・アイ リサーチアソシエイツ株式会社の事業領域・役割
中央省庁や自動車OEM等の自動運転関連企業に対する、自動運転を支えるインフラ(データ連携基盤、コネクティッドシステム)の政策・戦略立案や、技術開発コンサルティングにおいて豊富な実績があります。これまでの知見・ノウハウを活かし、実証実験の計画立案・関係府省庁とのコミュニケーションを担うとともに、多様な見地から下記パートナーを取りまとめ、V2X通信の社会実装に向けた総合的な検討・整理および技術実証を一気通貫で推進します。
(3)沖電気工業株式会社の事業領域・役割
ITSインフラベンダーとして、DSRC路側機などの関連機器・システムを道路管理者などに提供し、さらにV2X通信に関する研究開発・技術検証・規格化などにも、活動初期から参画して継続的に取り組んできました。これらのノウハウ・知見を活かし、5.9GHz帯V2X通信活用ユースケースの環境・条件などの検討とシミュレーションによる有効性評価、今後必要となる技術実証の立案・準備、ITS通信インフラの普及展開の方策、設置・運用条件などの検討を実施します。
(4)KDDI株式会社の事業領域・役割
ネットワークの設計および運用技術と、自動運転向けの遠隔監視システムおよび運用している知見を活かし、自動運転の社会実装を支える4G/5Gを活用した通信インフラ実現に向けて技術実証に取り組みます。自動運転の導入には遠隔監視が前提となります。高速道路において複数の自動運転車両を同時に遠隔監視するための技術検証や、映像伝送の品質評価を通じて、実運用を見据えた通信要件や運用条件の整理に貢献します。
(5)スマートモビリティインフラ技術研究組合の事業領域・役割
次世代の高度交通システムによる安心なモビリティ社会の実現を目指し、V2X通信システムを搭載したスマートモビリティインフラの技術開発と実証、ビジネスモデルの研究を行っています。特に700MHz帯V2Xに関して自動運転支援システムや安全運転支援システム、道路情報収集システムなど、さまざまなユースケースにおいて研究開発をしてきました。本事業ではこの知見・ノウハウを活かし、一般道と高速道路における700MHz帯V2Xの技術検証を取りまとめるとともに、V2X通信の社会実装のための総合的な検討・整理に貢献します。
(6)株式会社ティアフォーの事業領域・役割
「自動運転の民主化」をビジョンに掲げ、自動運転用オープンソースソフトウェア「Autoware」の開発を主導しながら、ソフトウェアプラットフォームの提供や各種サービスを展開しています。全国100カ所以上での実証実験・実装の実績をもとに、車両が定常的かつ安定して稼働する通信基盤を確立するため、一般道において携帯電話通信(4G/5G)による複数台の自動運転車両の同時遠隔監視・遠隔支援の有効性を検証します。
(7)株式会社T2の事業領域・役割
「自動運転技術を活用し、日本の物流を共に支える」をビジョンに掲げ、レベル4自動運転システムの開発と、同システムを使用した幹線輸送サービスの事業化を目指しています。本実証実験では、V2X専用通信によって提供される走行支援情報の有効性をシミュレーションで評価するほか、自動運転トラックの高速道路実走行により、遠隔監視の成立に必要な電波環境を測定し、実用可能なエリア・条件を評価します。
(8)日本電気株式会社の事業領域・役割
自動運転社会の安全性向上に向け、路車協調システム、V2X通信技術、エッジAI、セキュリティを統合した次世代モビリティソリューションの提供を目指しています。
本事業では、地方都市および都市部の一般道にて、5.9GHz帯V2X通信を用いた自動運転バス(レベル4相当)の安全・安心な運行に資する衝突回避支援や遠隔支援などの複数のユースケース実証を通じて、自動運転走行に係る車両制御への適用可能性や有効性の検証・評価を行います。
また、5.9GHz帯V2X通信と同一・隣接周波数帯を使用する衛星通信・放送機材(FPU)・ETC等の既存無線システムへの影響を精緻に評価し、相互に干渉しない共用条件の検討を実施します。
本事業で得られたV2X通信の有効性評価・検証結果と技術実証の成果は、国や関係事業者におけるV2X通信の技術的条件の策定、導入・普及促進方策の立案、2027年度以降の実証計画の策定に活用されることが期待されます。引き続き、三菱総合研究所は共同で本事業に取り組む企業と共に自動運転車両を支える通信環境の構築や、V2X通信の社会実装に向けたシステム構築支援を担うことで、自動運転車両が安全・安心に走行できる社会の実現を目指していきます。