2024年11月07日
テクノロジー

第6回:仮想世界を走るAutowareシミュレーション

06autotech

 

前回Autowareはオープンソースソフトウエア(Open Source Software:OSS)として公開されていて、誰もが利用可能となっていることを説明しました。一方、自動運転レベル4では走行可能な運行設計領域(Operational Design Domain:ODD)を定義し、それに対する安全性を確保することが重要なことも説明してきました。今回はそれを実現する手段として、Autowareのシミュレーションテストについて説明したいと思います。

 

ティアフォーでは、日本の各所で自動運転車両を走らせ、日々自動運転の開発に取り組んでいます。その一方、実フィールドの走行で自動運転を開発することは、走行可能な量、必要なシーンに遭遇できる確率、その再現性、万一の場合の安全性など、さまざまな課題があります。車の開発では事前の検証はテストコースで行うのが通例で、私たちもテストコースでの検証を行なっています。しかし、車の混雑具合、駐車車両の状態、自転車や歩行者、看板や植栽など、実際の道路環境と決められたテストコースとでは大きく異なるため、テストコースでこれらの複雑な状況を再現しながら自動運転を開発する事は事実上不可能です。

このため自動運転の開発には、コンピューターシミュレーションによるテストが非常に重要です。このシミレーションテストとは、コンピューター上の仮想空間に道路環境を作り出し、その中でAutowareをソフトウエアとして仮想的に走行させるものになります。

 

Autowareには、テストの目的や用途に応じて3種類のシミュレーション方法が提供されています。

 

1つ目はプランニングシミュレーターです。プランニングシミュレーターではAutowareのプランニング機能が、正しい経路を出力して決められた道路を正しく走行できるかを確かめることができます。一方、センサー認識や自己位置推定の結果は正しく動作している前提でシミレーションを行っており、その部分のテストはできません。

 

2つ目はリプレイシミュレーターです。これは実際の道路で計測車両を使って取得したセンサーデータを用いて、そのデータをAutowareに入力することで動作を再現するシミュレーターです。実際の道路で取得したデータを用いるので、Autowareが実際の道路環境をどのように認識するかを確認することができます。すなわち認識機能やローカリゼーション機能の動作確認を行うことができますが、計測車両がセンサーデータを取得した時と同じ走り方しか再現できないため、プランニングやコントロール機能のテストには使えません。

 

このようにこの2つのシミュレーターにはメリット、デメリットがあるため、通常はこの2つのシミュレーションを併用することでAutowareのテストを行なっています。これには二重の手間がかかるのみでなく、自動運転全体の動作確認は実車テストに頼らざるを得ない側面が残ってしまいます。実際、認識機能とプランニング機能の組み合わせで起こるような現象が、実車テストで初めて見つかるようなことも多くあります。

 

awsimAWSIM シミュレーター

 

こうした問題に対応するため、ティアフォーでは現実世界全体を再現出来るデジタルツインシミュレーターであるAWSIMの開発も行なっています。コンピューター上の仮想空間をAutowareにより走行する自動運転車が、ライダー(LiDAR)により仮想空間を捉える様子が再現されており、これによりAutoware全体を対象にした高度なシミュレーションテストを行うことができます。

 

以前はこのようなシミュレーションには、非常に高価なハードウエアとソフトウエアが必要で、大規模な自動運転の開発に使えるものではなかったのですが、ハード・ソフトウエアの進化により最近では開発に利用可能なレベルになり、高性能コンピューターを活用すれば誰でもリアルな自動運転のシミュレーションが行える環境が整いつつあります。ティアフォーではこのデジタルツインシミュレーターを「AWSIM」と名付け、OSSとしてGitHubで公開しています。

 

このように、ティアフォーは自動運転の開発だけでなく、シミュレーターの開発にも取り組んでおり、これも自動運転の民主化の一環といえます。

 

次回は、自動運転車両に必要な安全対策とその進化を説明します。 


Toshihide Ando | 安藤俊秀
ティアフォー・フェロー
2019 年入社。前職ではソフトウエア開発を中心に、自動車の各種電子システム製品などの研究開発に従事。技術本部バイス・プレジデントを経て、現職。


ティアフォーでは、「自動運転の民主化」というビジョンに共感を持ち、自らそれを実現する意欲に満ち溢れた新しい仲間を募集しています。

 

多くの職種で採用をしています。詳細は、ティアフォーの「求人ページ」をご覧ください。カジュアル面談をご希望の方は、応募する際に「カジュアル面談希望」と記載してください。

 

「どの職種で自分の経験を活かせるかが分からない」「希望する職種が見つからない」などの場合は、ぜひ「キャリア登録」をお願いします。

 

お問い合わせ先

  • メディア取材やイベント登壇のご依頼:pr@tier4.jp
  • ビジネスや協業のご相談:sales@tier4.jp

 

ソーシャルメディア
X (Japan/Global) | LinkedIn | Facebook | Instagram | YouTube

 

関連リンク