2024年10月24日
テクノロジー

第4回:そのまま走ると危ない時はどうする?

04autotech


前回は自動運転車両が走行できる領域として運行設計領域(Operational Design Domain:ODD)をあらかじめ定義し、そのODD領域内に限って自動運転車が可能になることを説明しました。今回はそのODD領域を走行中に、それ以上走行を続けることができないような場面に遭遇した場合の対応を説明したいと思います。

 

まずは皆さんが車で出かけようとする時を想像してください。「今は霧が出ているので出かけるのはやめよう」とか「今朝雪が積もったので午後に溶けるのを待ってからにしよう」というような判断をする事があると思います。

 

これは賢明な判断ですが、一方で「もしかしたら霧が出るかもしれない」とか「万一の大雨が降るかもしれない」などの理由で、常に外出を取りやめるわけにもいきません。

 

実際に運転中に、霧が出てくれば速度を落として走るだろうし、さらに視界が悪くなればハザードランプを点け、車を慎重に路肩に寄せるでしょう。大雨が降ってきた場合、運が良ければ最寄りのショッピングセンターに立ち寄ることもできるかもしれません。これらの状況判断は悪天候の場面のみではなく、タイヤがパンクしたり車が故障したりしたような場合にも同様に求められます。

 

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自動運転車両の降雨試験の様子


レベル3は運転交代を要求

自動運転車両でもこのような状況での判断と対応が求められることになりますが、ここで自動運転レベル3と自動運転レベル4の対応の違いについて説明します。自動運転レベル3では、運転席に運転者が常に搭乗しており、自動運転の継続が困難な状況になった場合、運転を引き継ぐことができます。自動運転車両は、自動運転の続行が困難と判断すると、サウンドやメーター表示で運転者に運転の交代を要求します。これを「テイクオーバーリクエスト」と呼びますが、自動運転車両からこのリクエストが出た場合、運転者は速やかに運転を交代しなければなりません。このように自動運転レベル3では、自動運転車両が対応出来ない状況では運転者に運転を引き継ぎ、その後、運転者が状況判断と適切な対応を取ることで自動運転の安全を担保しています。

 

一方、自動運転レベル4の場合、運転者は搭乗しておらず、自動運転車両が全ての状況に対応しなければなりません。この時、最も単純な動作は、車両が故障してその場で停止するような動作です。ただし、その場で停止する場合でも、急ブレーキにより短距離で停車するのか、徐々に減速するのかの選択があります。目前に危険が迫っている場合、急ブレーキで停車する必要があるものの、後続車の追突事故や乗客のけがのリスクを伴うため、どのように停車するのかの判断が必要になります。一方で道路上での車両の停車は、通行の妨げになるばかりではなく、後続車の追突事故を誘発するリスクもあります。そのため、車を路肩に寄せて停車するような動作が求められることもありますが、このためには、ハンドル操作、ブレーキ操作含め最低限の自動運転の継続が必要となります。さらに交通への影響やサービス性も考慮すると、次の停留所やパーキングまで走行して停車するといった、高度な対応を求められる可能性もあります。

 

安全な自動運転が困難になったら

自動運転中に安全な自動運転の継続が困難になった場合、その危険を回避する上記の動作をミニマム・リスク・マヌーバー(Minimal Risk Maneuver:MRM)と呼んでいます。そして、そのMRM動作が目指す危険回避のゴールをミニマム・リスク・コンディション(Minimal Risk Condition:MRC)と呼んでいます。先の事例を整理すると、MRCには急減速での停車や緩減速での停車、路肩に寄せての停車、次の停留所やパーキングまで走行して停車などのゴールがあることになります。

 

しかしながら、自動運転車両になんらかの問題が発生した場合、どの危険回避目標(MRC)を選択し、実際の危険回避動作(MRM)を行うのかは、自動運転車両に起こった問題の性質と周辺の状況との組み合わせによって様々です。

 

特に「次のパーキングまで走行する」といった高度なMRMが求められる場合、より正確な障害検出と状況判断が必要になりますが、これを自動的に行うことはかなり難しくなります。

 

自動運転車両が当たり前に走る社会になるためには、これらの道路環境と車に起こるリスクの組み合わせを一つ一つ解決していく必要がありますが、個別メーカーごとにこれらの問題解決に当たっていては効率が悪くなります。そのため、自動運転の普及のためには、技術面を含めた協力を促す必要があります。

 

今回は、自動運転車両に問題が発生した場合にMRMやMRCがどのように利用されるかを紹介しました。次回は、世界初の自動運転用オープンソースソフトウェア「Autoware」に焦点を当てます。


Toshihide Ando | 安藤俊秀
ティアフォー・フェロー
2019 年入社。前職ではソフトウエア開発を中心に、自動車の各種電子システム製品などの研究開発に従事。技術本部バイス・プレジデントを経て、現職。


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